住宅購入時に加入する火災保険は、補償内容も保険金額も自分で選べるからこそ、いくらかければいいか迷いがちです。この記事では、補償の仕組みを整理したうえで、火災の発生率や地震被害の実例を確認しながら、保険金額の考え方を解説します。
火災保険は、火災・落雷・破裂や爆発・風災(台風等)・雹災・雪災・水濡れ・盗難などを補償します。水災(洪水・土砂崩れ等)は商品によってオプション扱いのこともあります。
地震・噴火・津波による火災・損壊・埋没・流失は、火災保険では一切補償されません。これらに備えるには地震保険への加入が必須です。地震保険は火災保険とセットでのみ加入でき、単独では契約できません。
地震保険の保険金額は、火災保険金額の30〜50%の範囲内でしか設定できず、上限も建物5,000万円・家財1,000万円と決まっています。「地震保険だけで建て替え費用を全額まかなう」ことはそもそも制度上できない点に注意してください。
総務省消防庁が毎年公表する統計によると、日本国内の出火件数は近年年間3〜4万件程度で推移しています(ピークだった1970年代の6万件超からは減少傾向)。このうち建物火災が過半数を占め、原因の上位は「たばこ」「たき火」「こんろ」などです。
※ 出火件数は年により変動します。最新の数値は総務省消防庁が毎年公表する「消防白書」でご確認ください。
2016年の熊本地震では、震度7の揺れが2度観測された益城町で、国土交通省の関連機関が木造住宅の被害状況を建築時期・耐震性能別に調査しました。結果は、耐震基準・耐震等級によって被害の程度がはっきり分かれるというものでした。
| 建築時期・耐震性能 | 倒壊・大破の目安 |
|---|---|
| 1981年5月以前(旧耐震基準) | 約3割が倒壊・大破 |
| 1981年6月〜2000年5月(新耐震基準) | 約1割が倒壊・大破 |
| 2000年6月以降(現行基準) | 数%程度に低下 |
| 耐震等級3で設計された住宅 | 倒壊・大破はほぼ確認されず |
💡 この結果からわかるのは、「地震保険でお金を受け取る」以前に、そもそも建物が倒壊しにくい性能を備えているかどうかが被害の大きさを左右するということです。新築で耐震等級3を選べるか、中古なら新耐震基準(1981年6月以降)を満たすかは、保険と同じくらい重要な備えです。
保険金額は「時価」ではなく再建築価額(同等の建物を今建て直す場合の費用)で設定するのが基本です。時価ベースは築年数とともに評価額が下がり、いざという時に建て替え費用をまかなえなくなるリスクがあります。多くの保険会社は現在、再建築価額をベースにした契約が主流です。
| 世帯構成 | 家財評価額の目安 |
|---|---|
| 大人2人(新婚〜若い夫婦) | 300〜500万円 |
| 大人2人+子ども1〜2人 | 500〜900万円 |
| 大人2人+子ども3人以上 | 800万円〜 |
※ 保険会社が公表している家財評価早見表の一般的な目安です。実際は家具・家電・衣類等の総額を目安に調整してください。
地震保険は火災保険金額の30〜50%までしか設定できない制約があるため、できるだけ上限(50%)に近づけておくのが一般的な考え方です。保険料負担は増えますが、前述の熊本地震の実例の通り、建物の被害は耐震性能だけでなく地震の揺れ方によっても左右されるため、性能の高い住宅でも保険で備える意味はあります。
保険は期待値で見れば必ず払い過ぎになる仕組みです。本来は「貯蓄では到底まかなえない、生活が破綻するレベルの損失」に備えるためのもので、自己資金で十分カバーできる小さな損失にまで手厚くかける必要性は薄いという考え方も踏まえて、金額を検討してみてください。